
もう1ヶ月も倒れていたみたいだ。時間が経つのは速すぎる。
2月の頭、精神病の冬が遂に本格化した。すべてを失った私は魂なく倒れた。
とはいえ、例年は12月に倒れるのがお決まりだったから治療の経過としては悪くないのだろう。
そんな何も産まない2月にかろうじてプレイ出来たのがこの作品だった。いつプレイしたのかは覚えていない。2週間くらい前だと思う。
筋書き自体はまあよくあるというか、勘の良いガキならタネはすぐに割れる。別に勘の良くないガキでもすぐ分かるだろうな、というくらいのありふれたもの。
それでもこのゲームは演出の作り方とゲーム体験の完成度が凄い。一部の演出は本当に慄然。そして何より、プレイヤーに伝えたい体験を「ゲーム」という媒体を利用して正しく届ける方法論がちょっとあまりにも残酷に研ぎ澄まされすぎている。私はこの作者の発想力が悪い意味で怖い。
私は普段、あまり面白くなかったゲームは記録に残さないようにしている。そんな私が体も頭も動かない2月に、ずっと前にプレイしたゲームの記録をわざわざつけている理由はそういうこと。このゲームは傑物だ。
ただ、記録をつけたかった理由は、ゲーム日記としては不純なのかもしれないが、もっと他のところにあった。
完成度の諸々を抜きにして、ダレカレは私にとって特別な思い入れのあるゲームになってしまった。
泣きそうになったからだ。
こんな見え見えのお涙頂戴の筋書きに正面から殴られるなんてこと、私にはきっと過去になかったからだ。
確かに凄いゲームではあるけど、こんなありふれた物語でも私は泣きかけることが出来るのか。幼少期の影響で未だに涙腺が動いてくれないが、泣くというのはきっとこういう感情なのか。
問題なのはゲームの方じゃない。変わったのはお前の方だ。お前が泣ける人間になったのだ。
この数年で自覚している。私は少し人間的になりすぎた。色んな感情を取り戻しすぎた。生きるのに必要な感情も、必要じゃない感情も、とにかく全てを取り戻しすぎた。
私は、弱い人間になった。
良いことだ。