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20210213 この三年間、私の身に一体何が起こっていたのかを書こうと思う。 #03

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述懐:

こんな事になると分かっていたなら、私はそれ以上足を突っ込まなかっただろう。

恋人が死んだどころでは無くなるのだと、それさえ知っていたなら、私は何も深追いしなかっただろう。

 

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2017年12月04日。

彼女からデートしたいという申し出があった。

私はその申し出に臆病だった。何しろ小学校で不登校、高校中退。現実の自分を見られたら相手が誰であれ絶対に嫌われるという強迫観念のようなものに取り憑かれていた。そしてその観念は、あまりに病的だった。

 

5年以上前のとあるオフ会の時の経験を、私は今でも覚えている。参加者は全員長い知り合いだったし、内1名とは以前会ったこともあった。今さら現実で会った程度で誰かに嫌われるような事などあるわけもなく、恐れるべき事は何も無かった。私は30分前に隣の駅に着けて、ホームの椅子に座って時間を潰していた。

凍える夜のことだった。寒空の中、体が震えて、ガチガチと歯が鳴り出した。最初はただ寒いからだと思っていた。すぐにそうではないと分かった。歯の鳴る音が止まらないどころか、どんどん早くなって止めることが出来ない。気付いたら手足も、寒さに耐えるために身体に擦り寄るようにするのではなく、脱力してだらんとしながらそのままずっと震えていた。

「人に会う」という恐怖心と異常なプレッシャーから震えが起こっているのは明らかだった。

そして……私の口が突然、笑い出した。「あは、あはは、あはははははは……」と力なく笑い声が漏れ出た。自分の意志によるものではなく、勝手に身体がそういう反応を始めた。初めてのことだった。

 

だから、その時の事はあまりによく覚えている。

 

私は力なく笑いながら、何かのドラマか映画のシーンを思い出した。銀行強盗に銃を突きつけられた人質が、ヘラヘラと笑い出してしまうシーンだ。

人間、本当の恐怖に晒されると実際にああいう反応が起こるのだと、あの手の描写は「お決まりのやつ」ではなくリアルの話なのだと、そうぼんやり思っていたのをよく覚えている。

 

とにかくそれくらいには私は現実で会うことが怖かった。

 

「会ったら嫌われる」、そう思っていたので、私はとりあえずデートとかじゃなくて喫茶店か何かで少し話すだけにしよう、それで私のことが無理だと思ったら別れて欲しい、一回会って大丈夫だったらその後改めてデートにしよう、そう言った。

それでも会えることに喜んだのか、彼女はその日、昼から夜まで歩き回って喫茶店の下見をしていた。彼女が家に帰った後、どういう話の流れだったか忘れたが、(ログには残っているが読み返すと今でも症状が悪化して動けなくなるので閲覧は控えておく、)「その日は両親が家にいないから」と家でデートする提案が彼女の方からあった。

それがどういう意味なのかは測りかねるところがあった。

大真面目な話、普通の意味での性欲は私には存在しないのと同じだ。細かい話は関係ないので省くが、「そういうこと」に一切興味が無い。持てない。

それでも彼女が望むならそれに応えるのが恋人の役目だと思った。実際、ただ家でのんびりするだけなのかもしれなかった。

どうあれ、家にまで呼ぶくらいなのだから、本当の本当に本気なのだと思った。私は、彼女の申し出を承諾した。

 

一つだけ私から願い出たことがあった。アルコール類を買っておいてくれると助かると。3%500ml缶で良いと言った。私は下戸で、それくらいが私の限界量だ。

私は雑談がひどく苦手だ。現実で人と会いたがらない理由の一つだ。ただ経験上、アルコールが入っている時だけは普通の人と同じように話せることを知っていた。そう話した上で頼んだ。

20分ほど急に彼女から返信が途切れた。彼女が戻ってくると、次の写真が届いた:

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コンビニまでダッシュで走って買ってきたのだという。

私をサプライズで喜ばせるために買ってきたそうだ。私は実際、凄く喜んだ。「……私、ウィスキーは度数高すぎて無理だぞ」とは当然思った。でもそんなの関係無かった。とにかくただただ嬉しかった。

時刻は23頃だった。私は体調の問題があるので、早めに寝る事を彼女に伝えた。幸せに眠った。

 

 

……幸せに眠った、そのはずだった。

 

 

起きていつものように彼女のアカウントを開いたら、そこにはとにかく何か尋常ではないことが書かれていた。12月04日翌明朝にかけてのことだった:

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彼女は生まれつき、手術しなければ命がないほどの病気を抱えていたと言っていた。

それに関連した発作か何かが起こったのは明らかだった。

ツイートの時刻は午前00時~03時だったと記憶している。

 

12月05日、私はとにかく彼女の無事を祈るしか無かった。

ひたすらに電話を待った。

 

 

そして12月06日、電話が鳴った。

私は聞かされることになる。

彼女が12月05日に死亡したこと、

そして、

彼女の生まれつきの病気とは狭心症であったことを。心臓の病気であったことを。

 

 

私は思い出す。

蜜月の時間、私がどれほど深く毎日のように彼女を興奮させたのか、そして、

絶対に身体に負荷を一切かけてはいけない人間が、死の前日に1日中外を歩き回り、トドメに20分もの間全力で走り続けたことを。