ブログを作っては消すのやめろ

ゲームの記録とか、稀に読んだものとか用です。

20200718 シノアリスを引退した。

正直言って、サービス終了よりも前に私がこのゲームをやめることになるとは微塵も思っていなかった。数ヶ月前まで。

 

やる気はそこそこにあるけど矛先が見つからずぶん回っている状態なので、最近引退したシノアリスについて、それがどういう沿革を辿ったのか書こうと思う。

 

 

辞めた原因の一つには、グランコロシアム(以下グラコロ)(公式略称)に安定して出れなくなった、あるいは無理に出ると体調に著しい異常をきたすようになった、それはまあある。だけどそうなってからも、半年くらいの間はつよつよ短期傭兵として色んなところを転々としていた。最終的にはバフ650万デバフ350万くらい出ていたので、無課金としてはかなりやれていたのではないか。*1

そんな私が辞めた理由を、このゲームの沿革と共に書いておこうと思う。結論だけ言えば過度なインフレでやる気が無くなった、の一語に尽きてしまう。ただそれが始まったのは2019年の終わりから2020年の初めにかけての突然のことで、それまでは極めて緩やかなインフレが続いていた。どうしてこんな事になってしまったのか全くわからない。パズドラの曲芸師事件を経験したプレイヤー達はこんな心情だっただろうか、と悲しい気持ちでいる。

読むにはシノアリスプレイヤーであることが前提になる。

 

 

時は2017年8月くらい、私がシノアリスを始めた頃のメタまで遡る。

まず当時最強のスキルは、サブスキルの補助支援弐だった*2。補助弐さえついていればメインスキルがどんなにゴミでも採用する価値があるくらい補助支援弐は強かった。蠱惑の竪琴とか黄金の提琴だって昔は人権だった。

次に強いのは補助支援壱。補助支援のついてないSS武器を入れるくらいなら、補助支援壱を持つS武器をつけた方が遥かにバフデバが出る。

ただ、このあたりは当時はあまり気付かれていなかった。無課金軽課金向けにバフデバを出すための考え方をまとめてゲーム内掲示板にスレッドを作成したら、色んな人から「お陰様で強くなれました!ありがとうございます!」みたいなのが個チャで結構来て凄く嬉しかった。一番驚いたのは2019年下半期頃、あるギルドに短期傭兵に出た際に「私がミンソサ始めた時に凄く丁寧にアドバイスをくれた人です!」と言ってもらえたことで、あんな昔のスレッドと名前を覚えてくれている人がいるのかと本当に嬉しかった。その人がまだやっているかどうか知らないが、あの言葉が聞けただけでも私はシノアリスを続けていた意味があっただろう。

 

シノアリスはゲームへの理解度がとにかく大事で、それが出来ていないといくら課金してもあまり意味がない。

 

とりあえず私の思い出話はやめて2017年のメタまで話を戻そう。

 

補助支援弐というのは強いだけあって本当に貴重で、シノアリスの装備は20枠だが、ゲーム内に補助支援弐を持つ武器は20個存在していなかった。補助支援弐をたくさん保有している人間が勝つ、そういうゲームだった。

一部例外的に、メインスキルが桁外れに強いので補助支援がなくても採用する武器があったりして(典型的には虚妄の提琴)、補助支援を切ってでもこれを入れた方が強いのか、何枚まで補助支援を切るのか、その辺りのバランスを考えるのが凄く楽しいゲームだった。

しかし当然のこととして、やはり収益は上げないといけないから、補助支援弐を持つ武器は段々と増えていった。それでも合計20種に達するまでは相当な時間を要した。1年近くあったのではないだろうか。天井*3や特化ガチャ*4で新しい補助弐が出る度にミンソサは人権が得られますようにと天に祈ったのだった。

静寂の龍琴なんて今じゃゴミ同然の扱いだろうけど、実装当時は唯一無二の激ヤバ装備だった。「物理攻撃力のみのバフ」「補助支援弐」これを両立する武器は龍琴が史上初だった。

 

さて補助支援弐が飽和してくるとインフレ第一波が始まるわけだが、この時点ではまだ気になるレベルのインフレというわけではなかった。プレイヤーとしてはむしろ「この程度のインフレなら」と全然許容できる範囲だった。

補助支援弐はそれだけで強力過ぎるので、それまでの武器は釣り合いとしてメインスキルが弱い傾向にあった。「弱めのメインスキルと補助支援弐」みたいなのが基本で、具体的には「魔法攻撃力をバフ」+「補助支援弐」みたいな感じだった。このメインスキルの部分がインフレして、「物理攻撃力・魔法攻撃力をバフ」 + 「補助支援弐」だとか、「物理攻撃力・物理防御力をバフ」 + 「補助支援弐」みたいな上位互換が出てくるようになる*5。ただ、この系統はあくまで「補助支援弐のためだけに入れてるメインスキルがどうしようもない差し替え候補の奴ら」の枠を食っていくだけで、目に見えたインフレとして感じられるレベルではまだなかった。

そして何より、「新しいコレをどの現状の装備と差し替えるか」「これは切れない、あれも切れない」みたいな判断が日に日に難しくなっていき、それを考えるのが楽しかった。上位互換が出るのは楽しみですらあった。*6

 

凶禍武器や劣勢武器については種類が少ない事を考えるとあまり大きな問題ではないので割愛しておく。いやスコップは大問題だが今はそういう話をしていない。

 

1年くらいが経過して、2018年末頃~2019年初め頃だろうか、遂に「つよつよメインスキル」 + 「補助支援弐」が飽和する。課金させるには更なるインフレが必要になる。インフレ第二波である。(私はこの辺りでもう完全無課金戦士だったが、凸りたい上位陣はそうもいかない。)

ここで運営が考案したのが、コロシアム20分を「前半」「後半」に分けるアイデアだ。

元々シノアリスのコロシアム(ギルド戦)というのは、ラスト3分ゲーと言っても全く差し支えないくらい終盤の比率が重かった。「劣勢だと性能が向上する武器」とかもあったりして、ワンチャン一発落とされたら逆転負けを食らうので勝っていても最後までマジで油断ならない。そういうゲームだった。

これを受けて、運営は最初の15分が「前半」で最後の5分を「後半」とし、「後半のみ性能がアップするつよスキル」 + 「補助支援弐」という武器を作り始めた。これがジョブを問わず実装されるようになった。

ただこの時点でもまだインフレというわけではなかった。むしろアイデアに感動すらしていた。「なるほどそう来るかー」という感じだった。この時点では既に装備セットの仕組みがあったので、コンボ用 + 序盤汎用 + 終盤汎用 + 残り1枠、の残り1枠どうしよっかみたいなことを考えたり出来るようになった。コンボしない人は2枠使える。相手物理っぽいから対物用意するけどけど魔だったらこっちのセット使うかー、みたいな。あとここまでに書いてこなかったけど装備セット変更回数をリセットするナイトメアとかを使う必要性が強く出てきたり、今回のインフレも純粋なインフレというよりむしろ戦略の多様化とった感じだった。

一部、「前半のみ性能がアップするつよスキル」 + 「補助支援弐」みたいな15分間暴力を振るえる武器も存在したけれど、やっぱり数は多くなかった。多くなってきてもやっぱりあまり気にならなかった。

 

そして序盤終盤武器が飽和してきた頃。

この辺りから突然話がおかしくなってくる。

何もかもが取り返しがつかなくなって、私がやめる直接のきっかけになった、インフレ第三波。

具体的には、「補助支援参」と「1~3体へのバフデバ」の濫造だ。

補助支援弐の話しかして来なかったが、実は参がある。掛け値なしに強い。補助支援弐4凸と補助支援参無凸は性能がほぼ同じ。参を凸ったらもう弐なんてお話にならない。でも参は2周年記念とかで実装された武器だけが持っているもので、ゲーム内に恐らく4種しか存在していなかった。しかも、メインスキルが「物理のみバフデバ」「魔法のみバフデバ」だったりするので、物理染・魔染を考えると実質的には2種しか組み込めないのと同じだった。

そんな補助支援参が濫造される。毎月のように出る。メインスキル性能は補助支援弐のものと同じ*7。それはこれまでの取捨選択と違って、「単に完全上位互換なので同じスキルの補助弐と差し替えれば強くなる」という極めて無味乾燥なものだった。おまけにインフレした数字はとてつもなかった。

そして今まで話をしてこなかったが、このゲームのメインスキルには人数の問題がある。「1人をバフ」とか「1~2人をバフ」とか「2人をバフ」とか。ただ対象人数によって効果の基礎倍率が全然違うので(この辺りはほぼ統一されていた)、人数の期待値をかけて一番強いのはもっぱら「1~2人をバフ」のメインスキルだった。というか1~2が強すぎて他がお話にならない。2人確定で強いのなんて虚妄様とか悪兎様くらい。流石にこの時代まで虚妄使ってた奴はいないだろうが。悪兎も、相手が物魔不明なら採用だけど情報分かってるならもう採用されてなかっただろうなぁ。

これが、「1~2人をバフ」と同じ基礎倍率のままで、「1~3人をバフ」、しかも「補助支援参」なんて冗談みたいな武器が濫造されるようになる。期待値1.5人だったのが期待値2人になって純粋に33%数値が増加し、おまけに補助参までついていたりする。もう何もかもが滅茶苦茶としか言いようがなかった。

 

元から廃課金層の離脱は多かったのだけど、突然その速度が堰を切ったようになったのを覚えている。

 

これまで何年も使ってきた思い入れのある装備が毎月1個ずつ全くのゴミになっていくなら、そして差し替えた装備さえ次のインフレの時にまた毎月1個ずつゴミになっていくことが容易に予想されるなら、誰がこのゲームを続けるのだろうか?

それまでにあった緩やかで楽しいインフレとは違って、2020年に入ってからのインフレはただの集金装置なのがあまりにも明け透けだった。

 

というわけで、面白くなくなって、辞めた。

……シノアリスってグッズとかコラボカフェがむっちゃ金回るから、こんなことしないで長期化コンテンツとしてゲームだけでも回してればよかったのになぁ。そこまでしてゲームの方で無理に収益を上げる必要が本当にあっただろうか。

 

他にもメダル周回しかイベント無くてダル過ぎるとか討伐めんどいとか色んな問題はあった。運営もレイドとか実装して頑張ってたけど、それには少し遅すぎた。それは本当は1年以上前に実装されるべきだったものだ。(というか1回実装して大不評をくらって失敗している。)

 

この周りを考えてみると、過剰なインフレに至った原因として間違いなく挙げられることに、シノアリスというゲームにはコンテンツの種類が非常に少なく、「新しい武器を実装する」「新しいジョブを実装する」以外に収益を上げる手段が全く存在しない点があると思う。*8コロシアムを除けば根本的に周回しかやることが無い。

「課金したい」と思えるための新しい価値やコンテンツを、3年もの間実装できていない。

では、どうして新しいコンテンツをシノアリスは実装出来ないのだろう?

 

ぶっちゃけ、初期のプログラマーが全部悪い。あるいはプログラマーを管轄してた奴が悪い。

基幹部分がどうしようもないプログラムはそれ以上何の拡張も出来ないのだ。

 

シノアリスプレイヤーなら御存知の通り、このゲームの画面遷移速度はマジで最悪だ。もう本当にこれがシノアリスじゃなかったら5秒でアンインストールを決めるくらい最悪だ。ボタンを1回押す度に1~2秒待たされるゲームなんてこれ以外に聞いたことがない。

グランコロシアム初回の時も、あるいは結構経ってからも頻繁に、「なんでそんなとこでバグ出るの?」というくらい意味が分からないバグが多くてひどい。え、これテスト環境で1回でも走らせました?ってなる。射的イベ初回とかすごろくイベとかも大不評だったけど、事前にまともにテストプレイしてたらあんな事にはならなかったはずだ。もっとちゃんとした形でリリース出来たはずだ。一体どういうフローになってるのかちょっとマジで分からない。

多分、想像される経緯としては、元々こんなに売れることを予測していないゲームで、基幹部分を質の低いプログラマーに突貫工事で作らせたのだろう。そのせいでコードも構造もトールスパゲティフラペチーノになってて秘伝のタレを継ぎ足し継ぎ足しして2年やってきたからもう改善のしようがない、みたいな。改善しようとしたらものすごい時間がかかる。それとも根本的に作り直そうとか誰かが言い出してもそれをリリースした時にまたバグが出るのが怖くて実行に移せなかっただろうか。それでも新機能をリリースする度にテストすらしてないように見えるバグが出るのは本当に謎だ。最新のレイドは恐らくシノアリス史上初めて特にバグが出なかったイベントだった。内容はシナリオ含めて好評でもあった。最近はようやくUI周りにも改善が大きく見られる。プログラマーを入れ替えたんだろうか?

 

でも、何もかもがあまりにも遅すぎた。

 

何もかもがガッタガタなゲームだったけど、それでもそんな不出来なところが私は大好きだった。

楽しかったよ、シノアリス。これからもストーリーはずっと読むよ。

私の愛したあの戦場に追悼を。

 

 

 

 

 

 

 

 

*1:もちろんスコア厨の無駄バフは撃たない。

*2:前衛なら勇猛果敢弐、ヒーラーなら回復支援弐

*3:シノアリスの天井は無課金で容易に毎月達成可能

*4:天井がない。無課金だろうと廃課金だろうと神は無慈悲である

*5:実際には人数と倍率や期待値の問題、時代ごとの属性や物魔メタの関係はあるのだけど

*6:ちなみにガチ勢は装備セットもなかったこの時代に対物対魔等を用意して毎日調整していたという。

*7:それどころかコストや倍率を考えると過去の武器より無条件に強い

*8:月額500円の課金はあったけど、宝玉の飽和に伴って無価値化したのは皆さんご存知の通りだ。