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ゲームの記録とか、稀に読んだものとか用です。

20171231 将棋ウォーズ3級に

 

 

年納めウォーズ昇級

「ひょっとしてこのペースなら年内に昇級出来るんじゃないか?」とは数日前から思っていたのですが、2017年12月31日午前2時頃、念願の昇級が叶いました。

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それは鬱病患者が起こした2004戦目の奇跡。

普通、将棋を2004局も指してようやくウォーズ3級になる人はいません。

私がこんなにかかったのは、鬱病患者であり、また本等の媒体に対して非常なトラウマがあるため、将棋の上達の最大の近道であるはずの、初心者向けの本が全く読めないからです。

詰将棋や手筋本、ひと目の寄せ*1等なら読めるのですが、体系的な勉強となると完全に死んでしまいます。

そんなわけで私は1年くらい将棋を休止していました。

そんな私を救ったのが雁木舟囲いからの右四間です。

 

まず私の鬱病患者としての将棋の体験、次にウォーズ4級で停滞していた人間が3級になるために必要だったことや、雁木と舟囲いの初心者へのメリット等について、記しておくことにします。

ウォーズ3級なんかでそんな事書いて良いのか、とは思うのですが、私の感じたことが誰かの役に立つのかもしれない、それだけが今の私の生きる意味を支えています。

 

何故雁木と舟囲いが鬱病患者に向いているのか

囲いが凄く簡単でしかも急戦にしか出来ず、手筋や地力だけでそこそこ勝負になるからです*2。舟囲いは勿論発展系があるのですが、それを考えるとしんでしまいます。

前にも、そして今日も書きましたが、私が去年将棋をやめた理由の最も大きなものは、「将棋をこれ以上強くなりたいには体系的な勉強が必要だが、それは当時の私には(今の私にも)全く出来ず、これ以上やってもただ漠然と指すだけになってしまうから」というものでした。

この私のどうしようもなさを雁木/舟囲い+右四間は救ってくれます。

長い定石を覚える必要がなく*3、相手が居飛車振り飛車か判断したらとにかく囲っちゃって右四間にするだけでわりかし勝負になります。ただ、あくまで初心者中の初心者でのレベルの話です。

また、やっていて思ったのですが、雁木と舟囲いからの右四間は、そもそも初心者向きなのではないか、と思うようになりました。

実際、1年間の停滞があったにも関わらず、この戦法一本にしてから確実に地力が上がったと感じています。

 

そもそも雁木(+舟囲い)と右四間は初心者向き?

居玉は論外ですが、初心者には分厚い囲いよりも、薄めの囲いからの急戦が一番上達に早いのではないか、というのが復帰してから感じたことです。

確かに硬い囲いはいっぱいありますし、間違いなく強いです。

私みたいな初心者オブ初心者が挙げられるだけでも代表的なのは矢倉、左美濃天守閣美濃、穴熊、やられると崩すのに苦労します。振り飛車さんの美濃は手数も短いのに固くて本当に辛いです。発展系とか本当に勘弁してください。

が、これらの囲いは逆に強すぎて、弱点や崩し方が初心者レベルで普及してしまっています。勿論それに対する返し技もあるわけですが、囲いだけ頑張って覚えてみたけど弱点を突かれて即崩落してしまう、なかなか生かせない、という方も多いのではないでしょうか。

これに対して舟囲いと雁木は、最早最初から崩れているも同然なので、次のようなメリットがあるのです。

 

私のプラトー(スランプ)とブレイクスルー

それは、私が将棋を再開してから、多分数百局目くらいに起こったことです。

「やっぱり去年と同じでぼんやり指しているなぁ。上手くはなれそうもないけど、やれる範囲で頑張っていこう」

そんな感じで勝ったり負けたり(負ける方が圧倒的に多いですが)していた私に、突然変化が訪れました。

居飛車だろうと振り飛車だろうととにかく雁木で戦っていたら*4、毎回速攻で崩されるため、「どう逃げたら一番詰まないのか、相手に厄介なのか」と考えていると金と銀の使い方が少しだけ上手くなり、「こっちは後何手で詰めろがかかるが相手はあと何手でかかるのか」と速度計算をするようになり、「どこに何を打たれたら困るのか、相手がしてきそうな事は何か」と自然と3手先を考えるようになり、「今は詰めろがかからないけど何を相手に渡したら詰めろがかかってしまうのか、あるいは即詰みなのか」と、相手の持ち駒も自然に見るようになりました。これも、3手先を考える上で非常に大切なことです。ふんどしや田楽を食らうことも前より少なくなりました。これで勝率がグッと上がったと思います。

今思えば去年の私は、とりあえず固く囲ってしまって、でも弱点突かれたらどうしようもなく即詰みでグチャー、粘る以前に粘りようがない、あるいは粘る能力がない、みたいなことが多かった気がします。

今年の再開してからの私は、裸玉の周りに金と銀がなんか浮いてるみたいな感じで常に戦っていたため、相手に最悪の逃げ方を常にしないと即負けになってしまうのです。

数百局ほどボコボコにされてから(普通はこんなかからないと思います)、急に盤上が以前より凄くよく見え始めるようになりました。

ここで改めて、私の昇級時の記録を見てみましょう。

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デイリー17勝7敗。当たる相手は変わっていない、あるいは昇級を前にしてレベルが上がっているにも関わらず、約7割勝っていることになります。これは明らかにブレイクスルーが訪れたことを意味しています。

 

勿論、ブレイクスルーを起こせた原因のほとんどは、いつもアドバイスをくださっている皆様のお陰です。また、皆様の将棋に関する何気ないツイートが頭に残って、それが実践で役立ったことも多いです。(「相手に何を渡したら詰めろがかかるのか」、「相手が何を指してくるのかを考える」はとある2人の方の言葉です。)

 

ただ、4級→3級になるために私に必要だったブレイクスルーのために、明らかに必要だったこと、初心者にしか見えないことが3個あると感じています。それを、将棋の、私よりも初心者の名前も知らない何年後に見るかもあるいは1人にすら見られないかもしれない誰かのために遺しておくことにします。

 

ブレイクスルーに必要だったこと

1つは、詰まされるか詰みを確認するまでどんなに不利でも絶対に投了しないこと、性格の悪い逃げを続けること、最後の歩1枚まで攻め続けることです。

こちらが先手番として、-6000とかから相手が1手間違って右往左往してる間にこっちは一撃詰み、あるいは自玉が詰まなくなった、という勝ち方が何回あったかわかりません。

それどころか、ぴよ将棋に読ませると、私が詰んでいるのにお互いに見逃していたり、あるいは私が「あっ詰んでるわこれ」って読み切ったのに相手が間違えてしまってそこから勝った事も多いです。

「こんなに硬い囲いでさえ崩れたからもう負け」なのではなく、「元々崩壊しているのだから逃げるのが前提」という精神は初心者には大事なのかもしれません。

(ただ、将棋を思い出してきたので、もう少し硬い囲いや発展系を状況に応じて視野に入れるのがこれからの課題になると思っています。)

たとえ普通の将棋指しなら投了する局面でも、ウォーズ低級の時点で、貴方の対戦相手は普通の将棋指しではありません。粘ってさえいればガバってくれます(逆に言うと自分もです!)。

お前の将棋はそもそもガバガバだし相手もガバガバだから最後まで粘れ、あと集中切らすな」、それを常に意識するのが大事だと感じています。勝つだけではなく地力にです。

 

次に、集中できる時にしか指さないことです。これは本当に大切だと思います。あるいは、集中出来ないけど指したい時は「これはあくまで楽しむだけの試合」と割り切って指すことだと思います。鬱病患者なので、起き上がるまでの数時間にとりあえず何か必要な日は少なくないのです。

 

最後に、棋譜を見返すことです。勝った時、あるいは負けて本気で悔しかった時だけで良いのです。「あの時ああしていれば……!!」とか「勝ったのは良いけどなんだお前その手は(自分に対して)」とか「あー、これ実は相手がこう逃げたら詰まなかったのか……」とか思う事はすごく大事です。ぴよ将棋に読ませて「えっここ詰んでたの!?あ、ああー!!!」とか思ったりするのも大事です。

 

そして上の3点以外に何より、棋譜をたまに見てくれる誰か、アドバイスしてくれる誰かがいることですが、そのような方と巡り会えるかは、運です。上達以前に、私が将棋を続けていられるのは、皆様のお陰だといつも感じています。アドバイスをくださる皆様、本当にありがとうございます。

 

ウォーズ3級でこんなことなんて書いて良いのか?とは思うのですが、初心者にしか見えない初心者に必要なことというのはあるのあるかもしれません。そのために遺しておきますが、先達の方がいればその人のアドバイスの方が絶対に役に立ちます。上に、頭に残ったセリフを記したり、棋譜を見ていただいたりした事も書きましたが、舟囲いを採用したのもとある方のアドバイスによるものですし、またそれのお陰で対振りの勝率が明らかに上がっています。というか私がブレイクスルーまでに意識したことの全てはほぼフォローしている皆様によるものです。アドバイスしてくださる皆様の存在が一番大きいと思っています。

 

あと、鬱病患者じゃないならちゃんと勉強しましょう。

 

最後に

今年最後の日記になりますが、総括とか、来年の目標とかは特に立てません。鬱病患者には、平日も休日も、年越しも何もあったものではなく、同じ日々が延々と続くだけなのです。

*1:未読だけどひと目の手筋が読めたから読めるはず

*2:勿論手筋や地力を上げるのも本当は本で勉強したり詰将棋をしたりするのが一番早いのではありますが

*3:いや本当はいっぱいあるのでしょうが覚えなくてもウォーズ3級までなら楽しめるということです

*4:途中から対振りには舟囲いを採用